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技術開発
ドラッグレースのレギュレーションには“体裁の良い外観”であり、ライト・ウインカー・テールランプ等はエアブラシで描かれている事] という記述があります。このためドラッグマシンの全てがボディペイント・ホイール・メッキ部等、全てが光ってます。厳密に言うと、汚れをはじめ金属表面のクスミ(安っぽい肌目)等は規則違反になるからです。
メタルチタン・TSG(チタンスラッジガード)処理の技術は全てココから始まっています。
ドラッグマシン用チタンマフラーの開発にあたり、既存のチタン材の弱点である光沢の無い金属目(煤けたアルミ色)汚れが付くと非常に落しづらい等の特徴は、私達にとって巨大な壁になりました。なぜなら、今市販されている全てのチタンマフラーがこれらの特徴を持ったまま販売されており、他社が諦めた分野(技術)だったからです。
新たな分野の開発のため、提携の企業(金属メーカー)との共同開発が始まり、試作が出来る度サーキットでのデータ収集。それをもとに耐熱、耐久、耐汚損等の改良を重ね、苦労の末現在の形になりました。均一な結晶構造を持ったチタン材開発の成功はメーカーでも成し得なかった偉業と言えるでしょう。
プロドラッグのメタルチタンがバフ仕上げのミラーフィニッシュとは全く違い、光沢・硬度・均一性など他では入手(開発)出来ない理由がここにあります。また、現在も研究は続けられ更なるレベルUPを目指しています。
また、メタルチタン発売から4ヶ月。クオリティの高さに大好評を頂き、ユーザーを始めメーカーの開発者の来店、TELでの問い合わせ等。モーター関係以外にもコンピュータ・医療関係・装飾品などの様々な分野での依頼が多く、今後の活躍が期待されます。
最近ではプロドラッグに続けとばかりにチタンの表面処理に力を入れるマフラーメーカーが増えつつ有ります。TSGチタンの採用依頼等、数多くのメーカーが一目置いているのも事実です。

最後発のマフラーメーカーですが、ロードレースには無い特異な分野での技術力の差が表れ、ある意味ドラッグレースのテクノロジーに他社が続くような形になり非常に光栄に感じております。
今後更にドラッグレースにおけるノウハウ、テクノロジーはモーター界に波及にていくものと思われます。

技実戦で鍛えられた技術
ドラッグレース、それは既存のロードレースを遥かに上回るハードな環境であり、極限までチューンされたエンジン。それを短時間で最大限のパワーを絞り出す、まさに想像を超える世界です。
エンジントラブル・・・・それは他のレースでは全く見られないトラブルも数多く、スタートの一瞬でエンジンが大破。最悪の場合、炎上する事もあります。エンジン内の驚異的なエネルギーを物語るかのように、クランクシャフトがねじ切れ、ヘッドからケースまで全てが吹き抜ける。強大なパワーゆえにドライブチェーンが引きちぎられる事など。そして、これだけのパワーを絞り出すために発生する膨大な発熱により、フューエルやオイルのラインからの炎上など、エンジンにとってこれ以上ハードな環境はないでしょう。

逆にこのハードな環境がテクノロジーの進歩には必要なもので、素材からの強度、加工技術など超一流でなければドラッグレースには通用しないものであり、優秀な技術者、職人の力が必要になるのです。
そこでプロドラックでは各分野のエキスパートの企業との協力を得ており、加工技術では世界の最先端に位置し、神業的な技術力を有する企業ばかりです。

今回リリースする3Dチタンマフラーは、私たちが長年培ったドラッグパワーのノウハウと世界最高の技術力で完成した21世紀に相応しい3Dチタンマフラーです。

今回プロドラッグマフラー開発にご協力頂いた各分野の企業の技術力をできる限り公開したいのですが、トップシークレット(企業秘密)の技術も数多く、私達ですら工場に近づく事を許されてはおりません。また、窓もなく周囲の警備にも気を使っている企業もあり、その加工技術は特許すら取らない企業もあるほどです。
特許を取得するためには技術公開をする必要があり、類似した技術への応用が可能になるため、あえて特許を申請しないのです。

分析
メタルチタン発売以来、大好評を頂いております。他社もそれに続かんと新製品を発売。しかし、酸洗のみの下処理だけだったり、バフで仕上ただけというローコストのパチ物まがいの製品が非常に多く出回る中、この分野の先駆者の技術力とまがいものとの違い。また世界初先端技術がどの様な物なのか。本当に光触媒効果が有るのか。汚れが本当に付きにくいのか。など、当ファクトリーが発売前に行った分析結果の一部を公開します。簡略化してはあるものの、専門用語等が多く理解し難いかと思われますが。是非最後までご覧下さい。
また、徹底的に調査するため、全て原子レベル(ナノレベル)の分析で産業技術研究所の依頼し、共同で行いました。
X線回析法
チタン・ステン金属など無機物質は、その物質特有の結晶構造を持っています。X線回析法とは一定波長のX線を照射し、結晶中の原子により回析するX線を検出する事により結晶構造を構成している物質が特定できる分析方法です。
この方法により、光触媒効果のあるアナターゼ型の結晶構造が解ります。これを用いてオーロラタイプを分析。光触媒効果を科学的に分析しました。
下記グラフ参照
結果
一般に、チタンには2つの結晶構造を有する事が知られています。光触媒効果のあるアナターゼ型と、強固な結晶のルチル型です。新技術の開発により、オーロラタイプにはアナターゼ型とルチル型の双方を兼ね備えている事が確認されました。上記グラフの通り、独自の結晶構造である事もわかります。

エスカオージェ分析とは
通常10−7Pa以上の超高真空中で行い、加速された電子を物質に照射。原子レベルで放射される電子エネルギーを測定する事により、その物質を特定。表面からナノメートルレベルの深さで計測・分析ができます。
この方法を用いてオーロラタイプを構成する原子を分析しました。
分析は下記参照


結果
極表面1/10−7mm(1A°)では、酸化チタンTio皮膜を表す酸素の成分が多く、深くなるにつれC・炭素(カーボン)が増加し、逆にO・酸素が減少する値が得られています。
これは独自技術によりC・炭素を構成する事で通常よりも遥かに強靭な皮膜になるからです。一般にC・炭素は物質をより強固に密着接合させる力を持つ事が知られており、私たちは開発当初よりこの性能に着目し、研究しておりました。
この技術の成功により、クリアー等の保護膜を必要とせず、光沢があり大気に直に触れるため、光触媒効果も十分に発揮できるのです。
他社で表面がつや消しのタイプが多いのは、剥がれやすい皮膜を保護するため表面にクリアー(セラミック・ガラス)などをスプレーする為です。当然光触媒等の効果もありません。
この技術は、現在世界中からの注目を集めています。

接触角測定
この方法は、メタル・オーロラの表面に試薬を落とし、水滴(試薬)の接触面の角度を測定するものです。この測定で撥水効果と防汚力を調べる事ができます。
一般にテフロンコート・高級ワックス等で80°以上の角度があり、撥水効果有りと呼べます。
この方法でメタルチタン・TSGチタン・オーロラを測定した。
下記参照
結果
メタルチタン・TSGチタン共に強力な(93.5〜102°)という強力な撥水力を持つ事がわかります。通常のチタンが汚れやすく、汚れを落しづらいのに対して、メタルチタン・TSGチタンは表面が限りなく均一で細かいため、汚れの入る隙間が無いと考えられます。
逆にオーロラタイプは親水性が強いため、接触角が50°となっています。これは光触媒と密接な関係が有り、上図測定値の一番下 接触角が35.9° 39.8°〜47.4°と少しずつ撥水方向に向かっています。これは、実験のためのUVランプ(紫外線)を一分間だけ照射したもので、強力な光触媒効果によりオーロラタイプの表面が強力に活性化し、良好な親水効果が表れたデータです。

表面粗さ測定
メタルチタンの撥水力・防汚力は先の接触角測定で証明できますが、実際の表面の粗さを数値で表す測定方法で、レーザーによりメタル表面の凹凸の距離を100万分の1?(1ナノメートル)の精度で測定が可能です。
下記参照
結果
上図のRA0.006um(6ナノメートル)と有りますが、これは測定した長さの平均数値です。参考として、人のDNAが15ナノメートルあり、その半分以下の数値となります。この限りなく平面に近い表面により、汚れが付きづらく強力な光沢を有する事がわかります。
また、メタルチタンが夜間黒く見えるのも限りなく平面な表面によるもので、たとえば晴天の日に凍った深い湖の底が真っ黒に見えるのと同じ様な現象です。メタルチタンサイレンサーが真っ黒になるのに対し、それを支えるSUSバンドが光を反射するという具合に同じ光沢でも全く違う特性があります。

本格的なドラッグテクノロジー導入
マフラー開発に際し、いかにしてドラッグパワーを取り入れるか。又、何としてもドラッグパワーを実感して頂きたく、独自の理論をもとに二年間の試行錯誤を繰り返し、性能とクオリティを追い続ける日々が続き、ようやく完成致しました。
エンジンには吸入⇒圧縮⇒膨張⇒排気というサイクルがあるのはご存知かと思います。我々はマフラーにも同じサイクルがあると考え、この十数年間レースで実践してきました。
プロドラッグマフラーでは、エンジンからの排圧を排気抵抗の少ないゆるいカーブで、真円の精密な3Dチタンパイプ38.1φ4本を4in1集合部で50.8φ1本に圧縮。と同時に内部のピラミッド構造によりエンジンの負圧(真空波)を最大限に利用し、排圧を加速させて強力な排気脈動波を発生させました。
そして、この強力な排気脈動波を中間パイプで50.8φ→54φ。さらにサイレンサーで60.5φと段階的に膨張させることでドラッグマシン同様の圧倒的なパワー及び加速力を実現しました。このマフラー内での圧縮⇒膨張のサイクル。これがプロドラッグマフラーの最大の特徴でもあり発進時のトルクを犠牲にせず、強力な加速を実現しました。シグナルスタートで他社を圧倒する性能を発揮し、1クラス上の走りを体感できます。一度マフラーの出口に手のひらを近づけて下さい。プロドラッグマフラーの底力を体験できます。
開発コンセプト
最速を誇るプロドラッグである以上、マフラーも最速でなければならない。
今回マフラーをリリースするにあたり、3つの目標を作りました。
1. 性能面 加速力、パワー、レスポンスで他社をはるかに凌ぐ事
2. 音質面 パワーに伴い超重低音である事
3. 品質面 ハイクオリティな仕上がりにするため、生産加工技術は各分野の頂点にいる企業の協力により生産する事
以上が本物を作る我々にとって絶対に譲れない条件でもあり、ドラッグレース界を代表するプロドラッグレーシングのマフラーに対する信念でもあります。
是非一度、本物のパワーを実感してください。

メタルウールと超細目パンチング
ドラッグパワーを損なわない。しかも、60.5φストレート構造で重低音。それを99db以下に押える。こんな事は不可能と考えておりました。
当初この課題をクリアーするにはバッフルの取り付けを検討。しかし、パワーダウンと低音が打ち消されるのは必然で、開発にあたり一番頭を抱えた部分でした。

まずパンチング。様々なパンチングのピッチと素材でテストしました。これには自由な口径(φ)とピッチが必要で、最新のNCパンチングマシンを使用。SUS304、チタンTP340Wの薄肉と厚肉を用意し、市販のシート状ウールを巻き付けてトライ。結果、若干の音量差はあるものの、いずれもドラッグマシン並みの爆音。音量測定の必要も無いほどで、いずれも×。
なんとしても消音しなくてはならない。が、市販のウール材ではいくら詰め込んでも限界があり、もっと高性能なウール材でなければ消音できない。各企業を探し続けるうちに、四輪用のメタルウールに着目。すぐにデータを集めてみる。それは通常のシート材ではなく、二重構造。しかも、パンチングへの巻き付けもメーカーの工場でなければ出来ないというものでした。
今現在、四輪車では極一部の高級マフラーだけが採用。価格も高い高性能ウールです。

さっそく試作。パンチングを製造メーカーの日本アスベストへ送り、後日加工されたウールが届きました。 ”重い!”すごく重いのです。一本あたり約700gと、普通のウール材の3倍ほどの重量だったのです。
メーカーによると、まずパンチングにSUSウールを緻密に巻き付け、その後に特殊なウール材(企業秘密)を圧縮成型したもので、メーカーでなければ巻けない理由がここにありました。
またSUSウールがパンチングからのウール抜けを防ぐため、耐久性が非常に良く、完成度の高い消音材です。(通称メタルウール)
問題の音ですが、地面に響くような重低音を見事に発生し、耳につく高音域がカットされた通好みの音に仕上がっています。

また、パンチングでも差がみられ、チタンの細目では乾いた軽い音。SUS304では重い低音と、素材の質量の差でしょうが、差異が現れました。素材、パンチングのピッチを様々な組み合わせで検討した結果、超細目ピッチの肉薄SUS304に決定しました。
余談ですが、チタンの肉薄超細目ピッチに挑戦した結果は・・・・素材が限界を超えパンチングによって素材が反り上がってしまい、パンチングマシンが停止してしまう始末。ここでもチタン加工の難しさを思い知らされました。又、市販品の場合は溶接部分約10mmは穴あけ不可能ですが、今回使用したパンチングはウールとの接合面全てに穴を開けた特注品です。

問題の音量ですがZRX1100用プロトタイプで(財)車両検査協会にて測定。結果、1度目で99.3dbを記録。98.5db〜99.5dbで推移していました。
現状では完全に99.0dbに抑える事が可能になっています。
これも余談ですが、バッフル装着時には96dbでした。あらためてメタルウール効果に驚かされました。

チタンの表面処理
鉄のメッキ、アルミのアルマイト、チタンの・・・? と技術面でまだ確立されていない分野である「チタンの表面処理」なのですが、クオリティにこだわる私達にとって、ぜひ取り入れたい技術でした。
しかし、最先端の技術分野であり、それゆえに企業間秘密が非常に多く、加工方法も一般化されておりません。ここではご協力頂いた関係各社様の不利益にならぬよう一歩下がってお話させて頂きます。

一般的にチタンというと、煤けたアルミに似ており、表面はザラザラ。そして、汚れが付くと非常に落としにくく、加熱すると青くなると言うのイメージがあります。実際に今現在市販されているチタン材の大半がこの状態にあります。
これは金属メーカーからの出荷後、何の表面処理も加えていない状態で製品にされたもので、特殊な化学処理により、最高のミラー仕上げを施す事も可能なのです。また、電解する事で表面がブルー、グリーン、パープル等に輝く性質を持っています。

チタンマフラーをお持ちの方でしたら、非常に汚れを落しづらい経験をされた方がいらっしゃると思いますが、これはチタンの表面構造が霜柱状になっているからなのです。
そこで、プロドラッグでは排気により加熱される「エキゾーストパイプ」にバフ研磨(表面構造が滑らかになる)を施したチタンパイプを使用。さらに応力解消のために熱処理で酸化皮膜(Tio)を形成し、表面を均一化してあります。これにより汚れが付着してもすぐに拭き取れるようになり、チタン特有の美しい発色も現われます。
今現在チタンパイプにこの方法を取り入れているのはプロドラッグとK−FACTORYだけです。何年か後には一般化し、磨きチタンパイプが主流となる事でしょう。

一方サイレンサーはプロドラッグの場合「外筒」「入り口」「出口」と見える部分は全てチタンを採用しており、エキゾーストパイプのような高熱が加わらない為、新たな表面処理技術を採用しました。
この中には商品化としては世界初の技術も含まれており、今後の市場に与える影響も大きいとおもわれます。
チタンミラーサイレンサー
バフ仕上げされたシート状のチタン材「#400」や「#800」というのは市販されていますが、プレスやロール等の成型の段階で曇ってしまい、ミラーの輝きは消えてしまいます。
しかし、プロドラッグ特別仕様のミラーサイレンサーはロール加工した外筒部、プレス加工を施した接合部、テールエンド及びカール部など、見事に輝いています。これが新技術であり、化学処理で表面の結晶構造そのものを変化させてしまうものです。その試作品を他の協力企業に見て頂いたところ『物凄い技術』とプロから絶賛されたほどす。そして、一番の特徴はバフと違い反射物が黒く映り込む深みのある輝き。高級感のある仕上がりです。

ミラーの加工方法ですが、これはトップシークレットでり、工場内には技術者以外の立入が一切禁止されております。ここでの説明も差し障りの無い程度でさせていただきます。
このミラー加工には数工程あり、特殊な化学薬品が必須となるのですが、ソレは開発時に偶然作られたもので、市販はされていないそうです。

ここで少し、この企業の開発と技術者の熱意についてお話します。
『実はうち、一度焼けてるんです』 それは研究中、化学薬品に引火してしまい、周囲にある鉄骨等の金属を巻き込み、次々に化学反応が引き起こされたそうです。消防の到着後も、薬品と反応を起こすため、消火活動が行えず、工場はほぼ全焼してしまいました。
又、同じ研究中なのですが、ごく低い温度で加熱すると爆発する性質の化学薬品が出来てしまい、動かせなくなったそうです。しかも、分解不可能な薬品になってしまったので、化学薬品の処理業者に処分を依頼する結果となったそうです。
このような開発裏話のなかで『ある意味、常に危険な環境の中でなければ本当に良い物は生まれてこない』などの言葉も頂きました。

このミラーの技術を始め、TSG処理など、チタン最先端の技術力を有しています。
そしてミラー技術をさらに発展させたものが現在のメタルチタンです。

TSG処理
T(チタン)S(スラッジ)G(ガード)処理。この技術もおそらく世界初のチタン表面処理技術でしょう。プロドラッグサイレンサーでは、ミラー以外の接合部、テールエンド、外筒部に使用されています。
汚れが非常に付きにくく、熱に非常に強いのが特徴であり、強力なはっ水効果もあります。お気付きの方もいらっしゃると思いますが、サイレンサーの両エンド部がステンレスの様な輝きになっているのも ”TSG” 処理効果の証で、プロドラッグだけのオリジナルです。これも加工方法は極秘で、やはり数工程あり、ある温度での熱処理を施してあります。

電解発色
チタンの表面処理としてはアクセサリーや食器等(ピアス、ネックレス等の装飾品)にも用いられており、日用品を中心に最近少しずつ普及している技術です。
電解の名の通り、特殊な化学薬品の中に電気を通し、表面にTio(チタンの酸化皮膜)を形成したもので、電圧によりゴールド、パープル、ブルー、グリーン等に発色します。又、酸化皮膜(Tio)は剥れやすいという短所があり、マフラー等の厳しい環境(熱、耐雨性、紫外線)には表面にガラスコート処理を施した物が一般的に使用されています。
プロドラッグでは、カワサキ車用にグリーンを業界初投入してます。このグリーンはブルー、パープルが幅広い電圧で発色するのに対し、非常に狭いほんの一瞬の高電圧域でしか見られない色で、加熱酸化(バーナー等)も含め、発色の非常が難しいと言われています。
また、プロドラッグでは先ほどのTSG処理も組み合わせることにより、全く新しい発色の技術(新色)の開発や、ガラスコートを使用しない商品の完成を目指して日夜研究中であります。

3Dチタンパイプ曲げ加工
この3DチタンK-FACTORYに出会うまでを少しお話します。それまでプロドラッグマフラーは2D機会曲と手曲げ。どちらを使うべきか検討に検討を重ねてきました。

手曲げの特徴である緩やかなRは、排気抵抗が少なく、その外観も美しく見えます。しかし、バーナーで融点 (チタンの溶け出す温度) 近くまで加熱するため、冷間 (機会曲)で曲げた物に対して熱害 (素材の強度低下) を起こしやすく、人間の手作業による生産のため、精度のムラが大きい等。手曲げゆえの問題もあります。

一方、機会曲げは生産ムラが少なく均一性があるため量産品向きである反面、パイプの曲りも型により「90R」「120R」等、手曲げのような美しさはありません。また、型に入れて引っ張り曲げるため、ベンダー傷 (引張りキズ) も多く、チタン材を使った機械曲げの場合はどのメーカーも多少のキズは確認できます。

パイプ表面に傷を付けずに曲げる事の出来る優秀な企業を日本全国から探し続けました。チタンの他にインコネル、ハステロイ等の新素材をも見事に曲げる企業がありましたが、いずれも2D (2次元曲げ) で、手曲げの美しさはありません。
2次元で美しくチタンを曲げる企業を探し続け、K-FACTORYに行き着きました。『うち3次元でチタン曲げれますぅ〜』と言われたのですが、チタンの予備知識のあった私達はマフラー開発当時 ”3次元チタン曲げなど不可能” という先入観があり、3次元ステンの誤りではないかと、にわかに信じ難いきもちでした。しかし『レッドはん一度大阪にあるうちのコーバ見てください』とのお誘いで早速工場見学。究極の曲げ技術を実際に見せてもらい採用を決定致しました。手曲げと機会曲げ、双方の良い部分を併せ持つこの技術はまさにプロドラッグが探しつづけたものでした。

3Dチタン曲げ、一言で言うと ”手曲げ職人がサイボーグになった” ようなもので、冷間で既存の型を使わない。また、引っ張らずに押し出す方法で一本のパイプを一行程で曲げてしまうものです。まさに神業的な技術ですね。
又、加工後のパイプも完全真円でベンダー傷など皆無に等しく、均一性も有り(一本目〜千本以上でも同じ曲がり)手曲げ以上に美しいのです。
この究極の手曲げ技術にプロドラッグのノウハウを組み合わせ、最速4in1のエキゾーストパイプが完成しました。
今では3Dチタンも各方面で絶賛され、K‐FACTORYに続けとばかりに開発に力を入れるメーカーも多いようです。しかし、この美しい曲げには優秀な手曲げ職人の経験が必要で、一筋縄ではいかないようです。(K‐FACTORY談)
3Dチタンパイプの熱処理
仮にサイレンサーを固定せずに走行した場合、チタンはエンジンの熱により変形し、サイレンサーが地面に付くまでパイプは曲がってしまいます。この高温時の熱変形を防止するため、製造の段階でパイプに熱処理(焼きなまし)を施しました。この時発生した色がパイプ全体をブルーにしたもので、実は副産物だったのです。デザインを考えてあえて加熱発色するメーカーもありますが、プロドラッグではパイプの性能を考えた結果、このままのブルーを採用する事にしました。
というのも、開発時にパイプの熱変形防止策を考えておりましたところ、K‐FACTORYではすでに熱処理によるチタンの応力解消技術を完成。レースでのデータ収集も終わっており、プロドラッグで検討の結果、そのまま採用させて頂いた技術であります。また、K‐FACTORYのエキゾーストパイプと非常に似ているのも、パイプの素材、3Dパイプベンダー、パイプの熱処理の他、加工に携わった技術者も同じ、同一の工場で生まれた3Dチタンパイプであり、プロドラッグではK‐FACTORYの3Dチタン技術を非常に高く評価しております。

パワー性能特性
パイプと4in1集合部
市販品の4in1のイメージというと、低回転域のトルクが弱く、高回転で”回る”というのが一般的であり、私達も同意見です。
しかし、ドラッグレースで使用されているものは、これに当てはまりません。全く違うのです。
その秘密はパイプの形状(集合部含む)にあります。ドラッグマシンの車重は、他カテゴリーのレースマシンと比べて決して軽いわけではありません。そして、それを操るライダーも重量級の方々がおおいのです。これは、発進時のトラクションを稼ぐためであり、ライダーと合わせて300キロ近い重量を動かすために、低回転での大トルクを必要とします。なおかつ、高回転での爆発的なパワー、それにつなげるレスポンスが絶対に必要であり、決して高回転のパワーだけでは動き出すものではありません。
1500cc 300psのドラッグマシン。エキゾーストパイプ、4in1集合部の太さは何φあると思いますか? 45φのエキゾースト?65φの集合部?太いイメージを持っている方が多いと思いますが、実際には40〜42φのエキゾースト。集合部でも50.8〜54φと、1500ccの割に細いものを使用します。これは先に説明した通り、排圧の圧縮による低回転域でのトルクUPが目的で、集合部のピラミッド構造で加速、メガホン部で膨張とつながることで高回転での大パワーを発生させます。これは4−2−1マフラーの低回転トルクの稼ぎ方とは一線を画す、ドラッグレースならではのノウハウです。プロドラッグは本格的にこのノウハウを導入した唯一のマフラーと言えるでしょう。
また、市販品の中には45φエキゾーストパイプ、60.5φ集合部でドラッグパワーを語るメーカーもありますが、本物のドラッグパワーを出すなら、圧縮できる細目のパイプ、ピラミッド構造などが必要不可欠です。プロドラッグも開発段階でユーザーのイメージに合わせ、何タイプもの太目のパイプ、42.7φEX−60.5φ集合部等のマフラーを試作しましたが、パワーとトルクの両面で×。ドラッグレースを戦う私達にとって、受け入れられる性能ではなく、結局はお蔵入りになりました。そして元来通り細目パイプでの開発に戻ったという経緯もあります。
ロードレース等、他のカテゴリーでも見られる現象ですが、ワークスマシン他、パワーの出ているマフラーは意外と細いパイプを使用しています。一度確かめてみてはいかがでしょうか。

集合部ピラミッド
集合部の内部構造には色色とります。ピラミッド構造のもの、仕切り板が縦又は横に入っているもの、何も入っていないもの、ピラミッドと仕切り板を組み合わせたもの等が上げられます。この中で、プロドラッグが採用しているピラミッド構造の最大の利点は、エンジンの負圧(真空波)を最大限利用できる事にあります。これは強力な排気脈動の発生には絶対必要なもので、NAエンジンの基本とも言われる部分です。

集合部からサイレンサーまでのテーパー化
集合部で50.8φ中間パイプで54φに、そしてサイレンサーで60.5φと今までのマフラーには全く見られない独自の構造で、ドラッグマシンで言うところの ”メガホン” に相当する部分です。これは集合部で作られる流速のある脈動波を膨張させる事によりパワーを発生させることを目的にしています。
仮に集合部からサイレンサーまで同径で作った場合、パイプ内部で排圧が打ち消され、流速(脈動波)が落ちてしまうからです。プロドラッグマフラーでは、3Dベンダーで作成した抵抗の少ない形状のエキゾーストパイプから、圧縮加速。そして膨張させるため、エンジンの動きがそのまま排圧となって手の平につたわります。

今回リリースされるマフラーの基本性能チャート等は公開していません。元来パワー型の4in1マフラー、それに本格的なドラッグのノウハウを投入し、緻密に加工されたプロドラッグ3Dチタンマフラーの底力は恐るべきものがあります。パワーの公開によってマフラー業界に混乱を引き起こすことは必至で、あえて公開しないことと致しました。
しかし、これではデータ不足という声もありますので、プロドラッグレーシング所有の98年式ZX−9R (BERCストックバイククラス出場車両) についてお話します。
当初この車両にはA社の市販品マフラーを使用。エンジン、キャブレター等はすべて無改造。電装品にDINAのレブリミッターを使い、17インチのドラッグスリックを装着。マフラーの「ポン付」で9psUP(メーカー値)という状態でエントリー。一年を通して好成績を収めたものの、1/4マイル(402.33m)を10秒を切って走る事は出来ませんでした。
そこで、プロドラッグマフラー(プロトタイプ)を開発、そしてエントリー。先程と同条件で9.6秒を記録。これはBERCに公式記録として残っており、98年式ZX−9Rとしては最速。10秒を切る驚異的なこの記録は、未だに敗られておりません。ライダーによると、加速力が格段に増し、背後から蹴り出されるような感覚があるそうです。
このZX−9Rの最高出力(ダイナジェット後軸出力)は、フルノーマルで130ps、A社マフラー取り付け時で139ps、プロドラッグマフラー使用時には146ps。これはメーカーの計測方法になおすと160psを超えてしまいます。まさにドラッグパワー恐るべしという数字を残しております。
今回ZX−12R用を共同で開発を進めたK‐FACTORYの技術陣も『これはちょっと・・・怖いものがありますねぇ』というほどの仕上がり。事実、加速力に関しては少し怖いものがあります。先のZX−9Rのパワーを遥かに超え、出力を抑える事さえ検討されたほどです。
言葉でイメージした場合 ”成績優秀な優等生を一撃で殴り倒すガキ大将” というのが一番似合っているように思えます。

メタルチタンとは
従来のチタン製造工程から更に高度な化学処理を7工程加え製造されたハイレベルなチタンを通称「メタルチタン」とよんでいます。
メタルの名の通り従来のチタンと比べ硬度、強度が抜群に優れているのです。これは、加工(切断、溶接面のすり合せ)等ではっきりと違いが現われ、カッター、エンドレスの消耗が著しく早まります。特に切断時の火花の色の変化には驚かされました。また、溶接面においては良好な溶け込みを示し、これらの特徴にあわせ生産工程の見直しを行った程の素材です。
又、今までのチタンの弱点でもあった全体汚損(指紋、油汚れ等が非常に落しづらい)が完全に克服されている事です。従来のチタンの結晶構造は霜柱状になっており、その間に汚れが入り込むとシンナー等でもなかなか落せなくなってしまう性質を持っています。
これに対し、メタルチタンでは結晶構造が均一で、汚れが非常に付きにくく、強力な撥水効果も持ち合わせています。又、表面の色が従来のチタンが煤けたアルミに似た色をしていますが、メタルチタンでは「メタル色」に輝き、バフでも電解研磨でもない独特の干渉色(屈折色)を発しています。特に夜間、角度によりガンメタや、真っ黒に変色する不思議な特性も有ります。(調査中)
レッドモーターではこの新素材にいち早く注目し、ドラッグレースに使用。予想以上の性能と反響を得て今春から本格的にプロドラッグより世界初のメタルチタンマフラーの販売を開始致します。
メタルチタンのサウンド、パワー他、21世紀に相応しい新素材による集合管の誕生です。

ケプラーカーボン販売を中止の理由
プロドラッグではカーボンサイレンサーの販売を終了しました。
以下の3つの理由により販売を中止
1. 排気ガス浄化装置を装備する新型車両が続々と登場した事で、排気温度がカーボンメーカーの保証する耐熱温度を大幅に上回り、熱によるカーボンの収縮が起き、耐久性の低下、強度不足等の問題の発生が容易に予測出来た事。
2. チタンやアルミ等の金属と違い、再利用が出来ない事(全て廃棄処分)で、最近の社会事情と照らし合わせ、許されなくなってしまった。
3. 生産性が悪い事で、生産・組立て時にカーボン繊維のささくれ等による傷が治り難い等。生産性で度々問題が起こっていた事。
しかし、黒色の外筒が欲しいという市場の声が非常に大きく、カーボンの販売中止と同時にカーボンに変わる黒色チタンを開発。
現在はメタルブラックとして販売しております。

チタンテールカール
ブルーのチタンテールは美しいのですが、これには一つのストーリーがあります。チタンの限界に挑戦し続けた職人の苦労の日々を紹介します。

『何としても ”しぼれない” ステンレス材ならしぼれるのに・・・・・なぜだ?』型作り一筋40年の職人の言葉でした。
腰砕け、溶接面のクラック、型の破損と焼付き。加工が難しいのはわかっていましたが、まさに職人泣かせの素材です。まず、パイプ切断面の水平度と真円度。溶接面の強度(断面の顕微鏡写真など)徹底的に調べ上げ、プレス前の状態から完全に成型していざプレス。しかしエラーの続出。ステンレス(SUS304)では同じ加工工程で最高の仕上がりになるのだが・・・・。
さらに型に修正を加えて再トライ。それでもチタンが型に焼付いてしまう。潤滑油の性能不足かもしれない。産業技術研究所によると『潤滑油とプレス速度に問題があるのではないか』とのこと。それならばチタン加工に適したオイルを探そう。早速チームスポンサーでもあるオイルメーカーTORCOに相談したのですが、今現在チタン専用のオイルはどのメーカーからも発売されていなかったのです。では何を使えば良いのか。しかし、有力な情報もありました。高いオイル精製技術を持つアメリカでは、チタンを加工する際に ”非常に浸透性の高い” オイルを潤滑用に使用していると。

オイルとプレス速度。これを様々な型を使いテストしていくが、まだ失敗の日々が続きます。しかし、型作り一筋の職人としてのプライドでしょう、絶対に『出来ない』とは言いません。失敗の度に型を修正し焼きを入れ、プレスをする。この作業を幾度となく繰り返すうちに、ようやくある程度の形にはなってきました。でも、まだまだ納得のいく仕上がりとはいえませんでした。が、他社製品を調べてみると、どの製品にも溶接先端部に僅かなクラックが認められるのです。 ”これが技術の限界かもしれない” でも完全にしぼってみせる。この後、型そのものに「ショット加工」を施し、今までの「面」から「点」で型と部材を接するようにしてみる。この加工でさらにオイルの浸透性が高まり、型にも冷却する事などの改良を加え、ついに ”納得のいく製品” を完成させる事ができたのです。

プロドラッグのサイレンサーエンド部である「カール」が全てブルーに発色しているのは、この加工にご協力頂いた企業(職人)に対する感謝の気持ちを込めて ”あえてブルーに発色” する事により、チタンを強調したものなのです。



チタンの加熱発色
ここでは表面加熱の発色について説明します。今回マフラーをリリースするにあたり、特別仕様として発色した物の発売を検討しておりました。加熱で発色した物と電解発色したもの。どちらが素材に対し適しているか、色々とトライしてみました。
加熱発色でトライした方法は下記のとおりになります
窒化による発色
窒素ガスを炉の中に封入。加熱によりチタン表面に窒素皮膜を形成したもので、一般にチタンコート等と呼ばれているのがこの方法です。
サンプル材では良好なゴールド発色をしたものの、対象とされる物がボルト、ナット類等で、サイレンサー本体(長さ470mm)が入る炉が無いとのことで、見送りとなりました。

バーナーでの加熱発色(大気酸化)
この方法は、一般的には手曲げでパイプを曲げる時にバーナーなどで真っ赤に焼けるまで加熱する事にによって発色する事が知られています。プロドラッグのエキゾーストパイプには、加工時の応力を解消 (3Dパイプで説明) するため、800℃での熱処理を施しており、全体が鮮やかなブルーに発色しています。しかし、加熱しすぎると (グリーン、ピンク) 逆に素材自体の強度低下、ひずみ等が発生します。これは市販品の中にも一部みうけられます。
電解発色が強度、歪み等が均一なのに対し、加熱では扱い方によって応力を解消。又は素材を傷める性質があります。

その他
塩浴 (ソルトバス) 超音波焼入れ、真空焼鈍他あらゆる方法の発色を模索しました。結果、炉の雰囲気で表面硬化、再現性、なかには炭化したもの等、発色として商品化出来る物ではありませんでした。

シールド溶接
プロドラッグでは大きく分けて2つの溶接方法を取り入れています。
一つ目はサイレンサー外筒部で、最新の自動シールド溶接機で完全に溶接されたものです。溶接面は均一で、鱗肌ではなく一直線のビート(溶接面)が特徴です。
もう一つは、ベテランの溶接職人によるTIG(タングステン イナート ガスシールド)溶接で4in1集合部、エンドパイプとキャップの溶接に取り入れてます。

まず4in1集合部ですが、パイプから切り出したパーツを組み合わせてピラミッド形状を作るのですが、構造上どうしても内部からの溶接が必要になります。これには裏ガス(不活性ガス)、アルゴンを流しながら行う高度な技術力が必要になります。さらに素材がチタン材であり、排気熱により800℃以上に加熱される部分であるため、完全にシールドされていなければ熱によってクラック(ひび)が入ってしまいます。これだけ特殊な条件がそろうと、並の溶接技術では絶対に不可能であり、私達も開発当初はステンレス材の使用を検討していたほどです。他社製品で集合部分だけがステンレス製という物がありますが、それは極めて困難な溶接個所だからです。

テールキャップ部、サイレンサーの両端で、青や青緑色の溶接部分が有るのですが、これには同じTIG溶接でも方法が異なります。
一般にチタン溶接では発色する事により、若干ですが強度が落ちると言われています。しかし、ユーザーの中には溶接面の青色を好む方も非常に多いため、今回は溶接面を発色し、しかも強度を落とさない溶接方法を検討しました。そして試行錯誤の末に、独自のシールド溶接方法を用いてプロドラッグだけの発色を実現しました。
肉薄(1mm)どうしのキャップとパイプの溶接部分にガイド(2mm)を挟み込み計(4mm)とし、集合部よりも遥かに高い温度に設定した強力なパルスを使い、計4mm厚の母材同士を一瞬で溶かし込んで溶接します。2mmのガイドを入れるのは通常よりも強度を稼ぐためです。
この方法のもう一つの利点として内部の構造上、抵抗になる段差を無くすことができます。これにより完全なストレート構造のサイレンサーを作ることが可能になりました。
また、発色の方法には、ガスの濃度、噴射速度、温度、回転速度など複雑な要素が絡み合うため、完成には膨大な時間がかかりました。
過熱発色したパイプと違い、内面からの輝きと表面で反射した光が絡み合い、宝石のような輝きを放つ実に美しい溶接面に仕上がっています。

適材適所
今回チタンの素材は二社使用してます。これは、同じチタンでもメーカーで若干の差異が認められるからです。圧延時の状態や、真空焼鈍の炉の雰囲気によるもので、同じ条件下でのプレス、表面処理(発色)などでハッキリと違いがでるのです。そこで検討をし、現在の二社の素材を使うことに決定したわけです。
また、材質でもあえてSUS304を使用した個所もあります。 たとえばスプリング。チタン材を使ったスプリングが少ないのは、素材の持つ特徴によるものです。チタンの場合、素材が硬いのでスプリングバックが非常に強く、元々スプリングとしての材質には不向きであるからです。

サイレンサーインナーパンチングの場合、ウールとパンチングで音質が決まると言っても過言ではないでしょう。チタンは比重がアルミニウム並に軽いため、通常は高音域の強い音になります。また、非常に硬いため薄肉細目の加工が非常に困難です。
そこで、あえて比重の重い(低音質)のSUS304を薄肉0.5mm厚にすることで、重低音と軽さを両立いたしました。音を聞いて頂ければ、このマフラーが軽さだけにこだわった物で無いことがおわかり頂けると思います。
こぼれ話し
色のためのチタン材を確認している時、表面に極薄い茶色のまだら模様が認められました。その模様は表面から0.2mmに達していて、スコッチ処理をしないと消せない状態にありました。当初、成型の段階で付いた打痕では? と、工場の加工機械、作業行程をすべてチェックしましたが、まったく異常は無し。よく見ると、シートの段階でも同じ物が見受けられることも・・・・これは???
同じような色の記憶がある。それは加熱による発色を試していた時、炉の雰囲気による発現する症状である。今回使用している元の素材は「チタン2B材」と言って、メーカーで一度真空にして焼いた(加熱)ものです。チタンは僅かな炉の雰囲気に影響される素材で、後日メーカーにこの事を相談したところ、炉が改善され、今では美しい表面肌になって市販されているそうです。

こぼれ話し其の弐
メーカーのエリートVS下町の職人
プロドラッグマフラーの発売は、1996年の初シリーズチャンプ獲得時に検討しておりました。それから4年。本格的な開発に入って2年。優秀な技術力を持つ企業を探し、約300社近くを訪問しました。凄腕の職人を有する企業というと、下町の中小工場が非常に多く、親子(家族)での経営など、ごく普通の町工場といった感じです。そして、私達が素晴らしいと思う技術を持つ工場には、常に大手メーカー。またはワークスチーム等の影がみえます。
その中のある工場の社長のお話をします。そこは大手自動車メーカーの試作品等の部品を製造しており、薄物の加工を得意としています。某日、メーカーとの打ち合わせのため、スーツを着たエリート社員が4人ほど工場に来ていました。待たされる事30分。ようやく打ち合わせの終わった社長が一言 『あいつらバカなんだよ』と・・・・・・下町の職人ならではの口の悪さでさらに『車にまともに乗った事のない人間が車作ってんだからなぁ〜』。開発スタッフのほとんどは大学をトップクラスで卒業した人材ばかりなのでは?との質問には『ダメだ頭ばっかでかくて屁理屈並ベやがって。図面ばっか書いて紙の上で出来るものと実際に出来ない物が分からねぇんだよ。だからおっ帰してやったんだガハハー。でもよ、次の日にはまた違う図面よこすんだよ。懲りもせず!』 こんなやり取りを繰り返しているそうです。
また技術者に関しても『昔は大勢いたんだけど、今は量産物ばかりで、こういう面倒くさいのはうちら中小企業にやらすんだよ』と・・・・。今の日本で優秀な技術を持っているのは、やはり中小企業ばかりが目立ちます。
社長の毒舌はまだ続き『部品が出来んの待ってんだよ。夜中の2時でも3時でも・・・・。5、6人で来て、二人は見張り。あとの連中は工場の中ウロウロして、やりにくくってしょうがねぇよ。で、出来ると喜んで毛布に包んで持って帰るんだよ。変わってるよなぁ〜〜』と。それもそのはず、作ってる物がF-1のパーツなんですよ。

最後に
今回3Dチタンマフラー開発にあたり、クオリティかコストか選択する場が何度と無くありました。その全てにおいてクオリティを優先した事が私達の自慢でもあります。それは伝説になる集合管をこの世に残したいという、私達のバイクに対する情熱から来たものであります。
また、これだけの開発費、コストをかけて作った場合、本来30万円近い価格設定を考えなければならないはずです。ビジネスとして考えた場合、私達のやり方は失敗かもしれません。しかし、なんとしてもドラッグパワーを知ってもらいたいというレース好きな人間の熱意で発売する事になりました。

今後ともプロドラッグを宜しくお願い致します。

私達が世界に誇れるマフラーの開発にご協力頂いた企業の皆様にはこの場をかり心より深くお礼申し上げます